【健康コラム】温める酒と女子と飲み会 2019
07/7
世間は、ボーナスだ夏休みだ納涼会だとかしましく。お酒を飲む機会も急に増えてきてワタクシも例外ではなく、ぼちぼち飲む機会をいただいています。
お酒をいただくのは、楽しい!美味しい!けど……妙齢の女子は身体が冷えるのよ~……!翌日身体が辛いのよ―(泣)
や、呑んでいるときはアルコールで身体が温まった気がするので、暑いとしか感じないし、気持ちよいのですが、最近酔いが醒める時に猛烈に腰や背中が痛くなるんですよ……。なにこれ?年のせい?
なんていうか、外気が寒い時期ほど、痛くなる率が高い気がするんですよね……なんででしょう……?と冷静に自分の行動を振り返ってみますと。
乾杯→とりあえず生中(ビール350mlほど)
→つまみは枝豆や冷奴、生サラダ
→2杯目も生中(ビール以下略)
→脂っこいつまみが運ばれてくる(唐揚げなど揚げ物系)
→爽やかに口を潤したく、女子らしくグレープフルーツサワー(焼酎、グレープフルーツジュース、炭酸水)など頼む
→メインの焼き物などが運ばれてくる
→暑い
→キンキンに冷えた芋焼酎のロックかソーダ割
→いい加減酔っ払って暑い!暑い!
→デザートは当然アイスクリーム
→暑いのでカーディガンなど脱いだまま外に出て、解散
→酔い覚ましにコンビニで冷たい水やお茶を買って飲む(約350〜500ml)
…………なにやってるんだ、私。身体冷やしまくりorz。
家に帰ってお布団に入り込んでから、猛烈な寒気を感じて目が覚める訳がわかったような。そりゃ、腰も背中も痛くなる訳です。
今回は自身の反省を踏まえつつ、妙齢の冷え性女子にも優しいお酒の飲み方を模索してみます。や、そもそも酒なんて身体に悪いから飲まなきゃいいじゃん、との指摘が飛んできそうですが、まあ……そのなんだ……許して^_^;
1.お酒を美味しくいただく為のコツ
『お酒を飲むと、膝などの関節が痛みませんか』
さて、先程は腰や背中が痛いのは、冷えのせいではないかと言ってみましたが、どうやらそれだけではなさそう。
もちろん冷えもあるのですが、肝臓のアルコール分解機能に依るところも大きそうです。
https://www.excite.co.jp/News/bit/E1291334787233.html
「アルコール自体が毒性をもった物質ですが、その代謝過程で生じるアセトアルデヒドはもっと強力な毒性を持っています。飲んだ後のこのような痛みは、アセトアルデヒドが筋肉や関節付近の細胞に浸透し、神経を刺激し、痛みの原因の一つになると考えられます」(医療法人社団榎会・榎本クリニック/深間内文彦院長)
ポイントは、自身の肝臓がどれくらいの量のアルコールを代謝できるか知っておくこと。代謝しきれない量が増えれば増えるほど毒性の強いアセドアルデヒドが発生し、筋肉痛のような痛みが生じます。
まーでも、飲み始めると、気がついたら限界量を越してた……なんてのもよくありますよね(^_^;)
この状態を避けるには、いくつか方法があります。
チーズや豆類、ねぎやじゃがいも、ピーマン、フルーツやナッツ類を意識的におつまみに加えるとよいようです。
・アルコールを代謝する際に必要になるビタミン類(ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンE)とタンパク質をおつまみで同時にとっておくこと。
・水を摂ること。
ビール会社の営業さんによると、だいたいジョッキ2杯ほど飲んだら、間にコップ1杯の水を挟むのが理想的なのだそう。
まず第一に、アルコールを飲むと必要以上に水分が体内から排出されますが、水を飲むことで脱水症状を起こすことを防いでくれます。
また水分は、アルコールを肝臓で分解する際に必要な材料のひとつでもあります。
ビールなんてほとんどが水分だから、水なんか途中で飲まなくてもいいじゃないか!という諸兄も多いですが、それやってて急性アル中や脱水症状で大変になった人を何人も知ってます(^_^;)。
自分だけが特別な肝臓の持ち主だとは、ゆめゆめ思わぬよう。
アルコールを代謝する材料がなければ、どんなに酒上戸な方でもぶったおれます。
途中で水を挟むのが難しければ、お開きのあとにお水を充分に補給してください。
水を飲まないまま眠りこんだりすると、翌日ひどい2日酔いになるくらいならまだいいけど、下手すると脱水による脳梗塞や心筋梗塞を起こして、そのままあの世行きですよ。
2.自分に合うお酒を選ぼう
しかし、いくら水を合間に摂ったり、おつまみに気をつけていても、私、鬼門のお酒があります。
焼酎やビールはわりあい飲めるんだけど、赤ワインがダメなんです。35才をすぎたあたりから、急に飲めなくなりました。ワイングラス1杯が限界。それ以上は気持ち悪くなって吐いちゃうのです。
たまたま体調が悪い時に飲んじゃったのかなーと思っていたのですが、そうではなく、やはりお酒の種類によってアルコール代謝能力が変わってしまう人が、少なからずいる模様。
『特定のお酒に弱い人』
↑上記のサイトによると、赤ワインにはアルコール以外にも肝臓で代謝しないといけない副産物があって、どうやら私は、それらの物質を代謝する能力が弱いため、アルコール分解能力が極端に落ちてしまうようです。
他にも、蒸留酒はOKだけど醸造酒はニガテ……とか、ビールの炭酸が胃腸の吸収能力を刺激しすぎて酔いやすくなる……とか、その人その人の体質によって、アルコール代謝が難しくなるお酒はさまざま。
「自分の体質や肝臓に合ったお酒が見つかればお酒の楽しみも一層広がります。
もし二日酔いや悪酔いにムラがある場合は、その時飲んだ酒を思い出してみましょう(上記サイトより抜粋)」
うちの婆様(酒豪)が、生前「お酒を飲む時はチャンポンだけはするなよー、腰がぬけるぞー」とよく言ってましたが、どうやら理由はここにありそう。
チャンポンすると、どのお酒が自分にとっての鬼門だったのか、わからなくなっちゃいますものね(^^)
3.身体を温める性質のお酒ランキング発表(自身の体感での独断も含む)
もちろん西洋医学観点から肝機能を見据えた飲み方も大切ですが、冷え性女子のために、東洋医学的観点から、身体を温める作用のあるお酒を調べてみました。
や、アルコールって飲んだら全部温まるじゃん?と思いがちですが、酔いが醒めた後に身体が冷えづらいかどうかが重要。
漢方では、身体を冷やすか温めるかの性質で、食材や漢方薬を大きく『熱、温、平、涼、寒』の5つに分類しています。
『熱』が身体を1番あたためて、『寒』が1番冷まします。
『平』は、温めも冷やしもしない中間の性質をもっています。
基本的には、寒い土地や季節に採れるものが身体を温め、温かい土地や季節のものが身体を冷やす傾向にあるようです。
それでは主要なお酒5つのランキング発表!
5位 ビール:性質『涼』
『液体のパン』とも言われるほど栄養価が高く、ほどよい炭酸が胃を刺激し、食欲を増進させてくれます。
しかし身体を冷やすので、やはりビールは夏向け。冷え性女子は「とりあえず」の1杯を負えたら、他のお酒に切り替えた方がよさそうです。手前味噌ですが、ビールについて書いた記事はこちら↓
4位 焼酎:性質『温』
お酒自体の性質は温める方向にありますが、焼酎は何かで割って飲むことがとても多い飲み物。割モノの組み合わせによって一番性質を変えるのがこのお酒の特徴。
サワーやハイなど、フルーツ果汁やお茶と組み合わせることが多いですね。参考までに、割モノになりそうなフルーツやお茶の性質も列挙しておきます。
お茶
緑茶、抹茶『寒』 紅茶『温』 ウーロン茶『涼〜平』
フルーツ
グレープフルーツ『寒』オレンジ『寒』梅『平』みかん『微温』ざくろ『温』桃『温』
ちなみに鍼の師匠は「『焼酎のお湯割り梅干し入り』が、一番身体に優しい」とおっしゃってました。あたたかい焼酎をちびちび飲みながら、梅をしゃぶるとなんかホッとします(^^)
3位 日本酒:性質『温』
きんきんに冷やしたりせずとも、常温やぬる燗で呑んで一番美味しいお酒がこれ。飲む段階でも身体をそんなに冷やさずに済みます。
また、アミノ酸やビタミンなどの栄養素を豊富に含み、発酵させる段階で使う麹が、美肌によいと評判ですね。確かに日本酒を適度に飲んだ翌日は、お肌がもちもちつるつるする感じがあります(※あくまでも個人の感想です)
アルコール度数が高めのものが多いので、飲み過ぎに注意してくださいね。
2位 ワイン:性質『熱』
東洋医学では『暖腰腎』の効能があると言われ、主に腰など下半身の冷えによいとされています。
冬はシナモンやオレンジピールを香り付けに加えたホットワインが最高!寒い屋外でも、ちょっと熱めのホットワインをゆっくり飲むと、末端から身体がぽかぽか温まってきます。
ただしアルコール度数は高めなので、くれぐれも飲み過ぎには注意してくださいね。
1位 紹興酒:性質『熱』
アミノ酸を豊富に含み、東洋医学では女性特有の悩みに対して効果を発揮するとされています。貧血、生理痛はもとより、出産後の身体の回復にまで(もちろん妊娠中はダメ)!
飲むと身体がカーっと熱くなって、酔いが醒めたあとでも、あたたかさが一番続く感じがするのがこのお酒です。
ストレートの紹興酒に氷砂糖を溶かして、常温でいただくのが一般的な飲み方ですが、常温の紹興酒に熱いジャスミンティーを半分くらい注いで割ると、適度なぬる燗に。特有のキツイ香りも、ジャスミンの香りでまろやかに緩和されて、飲みやすくなりますよ。
ただしアルコール度数はすごく高いので、飲みすぎないようにしてくださいね(私はジャスミンティー割1杯が限度^_^;)。
本来は身体を温めるお酒のつまみもセットで論じるべきですが、それをやりだすとキリがなくなるので、今回は割愛。
身体を温めるザ・キング・オブつまみは火鍋とだけ言っておきます。材料の羊肉、しょうが、唐辛子、花山椒、八角、これらはすべて温〜熱の性質を持っています。特に羊肉の性質は『大熱』。北海道などでジンギスカンが好まれる理由がわかるかと。でも、あまり辛いと酒がすすみすぎるし、胃を荒らすので、ほどほどにどうぞ。
参考文献:東方栄養新書(株式会社メディカルユーコン 著者:梁 コウ千鶴)
4.結論
理屈っぽいことをぐだぐだ述べてきましたが、一番身体に優しいお酒の飲み方は、実は気のおけない人達と楽しくだらだらおしゃべりしながら、自分のペースで飲むってことなんじゃないかと。これホント大事。
だらだら喋ってると、そちらの方に気をとられて、お酒をあおるペースも落ちるし、なによりもストレス発散になります。
肝臓は、東洋医学的には『怒り(ストレス)』の感情と非常に密接な関係にあると言われています。
言われてみれば、たしかに仕事絡みの気を遣う飲み会より、気のおけない友達との飲み会の方が全体の酒量は多いはずなのに、翌日の身体の状態は、明らかに友達との飲み会の方が楽なんですよね。
おしゃべりによるストレス発散で『怒り』を外に逃がしてやった分、アルコールを分解する肝臓の働きもよくなっているのではないかと(あくまでも主観ですが)。
もちろんお仕事絡みの飲み会も大切ですが、緊張する場では肝臓の働きは悪くなるものだと『肝』に銘じて、アフターケアや酒量のコントロールを大切にしてくださいね。
お友達やご家族とは、おしゃべりをしながらのだらだらお酒を、おもいきり楽しんでください。
それでは皆様、よい夏を楽しんでくださいませ。
西川口 蕨 鍼灸指圧マッサージ アロママッサージ
はり灸指圧治療 ぬくまる屋 店主 あいざわゆきこ
※この記事は2017年12月しんきゅうコンパスコラムに掲載されたものを加筆修正しております。