「 健康コラム」記事一覧

【健康コラム】2021年川口まちゼミ動画まとめ 2021
06/25

こんにちは。久々にこちらのサイトを更新しております。

開業してから毎年、川口まちゼミというものに参加させていただいておりまして、開催前にはこちらで告知させていただいておりましたが、今年はツイッターでしか告知いたしませんでした。

えー、なぜーと思われるかもしれませんが(^_^;)

実は今年はこのコロナ禍のため、当店の講座がツイッターライブ動画配信形式のみでの開催になってしまいまして…。

しかもワタクシ、動画作成は全く初めて。ちゃんとしたものを作れるのか全く読めなかったことと、マスクありとは言え、顔出ししているのが気恥ずかしくて、告知をためらっているうちにあっという間にまちゼミ期間が終了してしまいました。ごめんなさいm(_ _;)m

終わってみても、見直すのも気恥ずかしく、このままツイッターの奥に埋もれさせてしまおうかな?とも思いましたが。

動画を作る際の下準備で、自分でもびっくりするくらい勉強になったんですよ。今まで思い込んでいた知識を改めて調べ直して見たら、勘違いしてることに気がついたり、初めて得た知識も結構あります。

今まで施術してきた中で得た個人的な所感も織り込んでありますので、以下のテーマで興味のある方は、1番上に表示してあるツイッターまとめを開いてみるか、以下のタイトルをクリックして、当該ツイートに飛んでください(動画が表示されない場合はツイートの中に表示してあるリンクをタップしてくださいね)。

動画は全部で15本。1本あたり約20分〜30分になります。かなり重いのでWi-Fi環境下で各動画を開いてください。

1怖くない!自分で出来る刺さない鍼(眼精疲労)
2怖くない!自分で出来るぽかぽかお灸(肩こり)
3やってみよう!外でもでも出来る簡単お灸(胃痛)
4いいとこどり!刺さない鍼で灸もする(二重顎)
5ツボは川の流れのように…(経絡)
6花粉症と肺と大腸と(対症療法編)
7花粉症と肺と大腸と(体質改善食べ物編)
8花粉症と肺と大腸と(体質改善ツボ編)
9秘すればしんどいお通じの話(便秘)
10体育が苦手な人のための腰痛回避講座(かんたん腰痛体操)
11ぎっくり腰と脚のツボ
12寝違いを自分でケアしてみる
13二日酔い回避作戦
14タイプ別生理痛攻略法
15不眠に効くツボ

一部お見苦しい部分、聞き取りづらい部分もあるかと思いますが、ご容赦くださいませ。

西川口 川口 蕨 鍼灸指圧マッサージ アロママッサージ

はり灸指圧治療ぬくまる屋 店主

あいざわゆきこ

【健康コラム】インフルエンザと麻黄湯と私 その2 2019
12/9


〜前回までのあらすじ〜
 時は遡ること1年前。家人が突然インフルエンザを発症し、倒れてしまった!熱を出した状態の家人と寝起きを共にしていたので、私も確実にインフルエンザウイルスに侵されているに違いないと、発症の恐怖に震えるぬくまる屋店主あいざわ。
 そこに、インフルエンザに効くと言われる漢方薬『麻黄湯(まおうとう)』が颯爽と現れた!
 タイムリミットはあとわずか。麻黄湯にすがるあいざわにインフルエンザ発症回避の道はあるのか……!?

前回のコラムはこちら


———————————————-

 というわけで、家人が発熱してから約30時間あまりが経過。

 私の喉の痛みも徐々に強くなり、肩甲骨の間に現れた肩こりも着々と勢力を拡大。ついに肘や腰まで鈍い痛みが出てくるようになりました。くう……これは一刻を争う事態。


 幸いなことにその日は夜間の予約はなかったので、1時間ほど店を早じまいに。近所のドラッグストアで、『麻黄湯エキス顆粒』10包入を手に入れたのでした。

 帰宅したのは夜の9時。家に帰って、食事をいただく前にさっそく麻黄湯1包をお湯に溶かしていただきます。

(^^)ここでちょこっと豆知識(^^)
 おしりに『湯(とう)』の字がついている名前の漢方薬は、お湯に溶かして飲んだ方がよく効くと言われています。
 いやー、イヤな匂いが湯気で立ち上って飲みにくいでしょ?と思われるかもしれませんが、そんなに匂いもなく、粉にむせることもないので、かえって飲みやすいです。
 また、麻黄湯にはカンゾウもはいっているので(甘茶の成分ですね^^)、ほんのり甘くて、苦味もそこまできつくありません。その漢方薬が今の体調に合ったものだと、むしろ美味しく感じるといいます。

 結果……うん、そこそこ美味しい。これはイケるかも。仕事後にほっと一息ティーブレイク。いいねえ……。

 なんて落ち着いてる場合じゃなかった!冷凍ご飯を鍋にぶちこんで、ちゃっちゃとおじやを作ると、別室で寝ていた家人を起こして(←診療所から帰ってきてすぐに自分で布団移動させてました。えらい)、一緒におじやで夕飯終了。
 ちゃっちゃと家人を布団に押し込んで、片付けて、お風呂入って、歯を磨いて11時までには私自身も布団に潜りこむことに成功。

 そう、薬だけではインフルエンザは予防できません。まず基本のうがい、手洗い、マスク、栄養、そして睡眠の5点セットは必須。最低限、睡眠時間だけでも確保しないと。11時に寝られれば、7,8時間は睡眠が確保できます。

 こんなのでは予防にならない、という人もいますが、組み合わせることで感染のリスクは確実に下がります

 要は確率の問題。100%はありえません。

 予防接種も同じこと。
 今回の家人のように、予防接種をしていたのにインフルエンザに罹ってしまったので、インフルエンザ予防接種なんか意味ないよ、という人もいるでしょう。
 でも、私のように毎年インフルエンザ予防接種をうつようになってから、罹ったことがないという人だって大勢います。

100%回避はありえない。でも、罹患確率は下げる。

 その観点で、自分の体力や状況に応じた予防策を立ててほしいなと考えています。

 それでも不幸にして罹ってしまったら、とにかく水分をたくさん摂って、もらった薬をちゃんと服用して、布団から離れない。
 家人は午前中に処方されたゾフルーザを服用していましたが、その晩には早くも体温が37度台まで下がっていました。
 タミフルなどはたしか5日間服用しないといけませんでしたが、最近のインフルエンザ治療薬って1回飲むだけでOKなんですって。すごいなー。うちみたいなめんどくさがり屋さんにとっては、ありがたいことです(※追記※ゾフルーザに関して、最近では耐性ウイルスが早くも出てきたということで、いろいろ騒ぎになってますが、どんな抗菌薬や抗ウイルス薬にも、必ずといっていいほど発生する問題です。要は乱用はダメという教訓だと思います)


 さて、話を本題に戻します。翌朝。6時半に目覚めた私。
 起きてそっと腰を布団の中で動かしてみます。……うん、痛みはない。喉と肩、肘の痛みはまだ残っていますが、頭痛などもなく。
 恐る恐る布団から出て、しばらく部屋の中をウロウロしてもだるい感じはでてこない。

……これはイケそう!

 コーヒーの代わりに、麻黄湯をお湯に溶かして朝のティーブレイク。喉の痛みは乾燥によるものだったらしく、喉がうるおってきたら大分楽になってきました。


 麻黄湯は食前または食間に一日3回服用が目安とのこと。
 朝ごはんをいただいてから、出勤。

 お昼ごはんの前にやはり麻黄湯をお茶代わりに1包。

 動いていたら、どんどん背中の痛みもなくなり、なんか体も以前より軽く超快調です。あら?あら?これはどうしたことかしら?頭もなんかすっきりして、苦手な事務仕事もはかどります。これはすごい!!

 夜にはすっかり体中の痛みがなくなり、喉の痛みも消えました。むしろ普段より快調かも。なにしろ体が軽いし、動ける動ける♬どうやらインフルエンザも完全回避できた……かな?

 もしかして、この冬ずーっと麻黄湯を飲み続ければ、インフルエンザも予防できるし、体も軽いし、一石二鳥じゃん?

…………なんて野望を抱いた時期が私にもありました。

その日もちゃんと7時間睡眠をキープ。翌日も麻黄湯を1日3回飲んで、布団に入ろうとしました

……が、なにかちょっと違和感。

変に心臓がドキドキしてます。脈もひどく力強く打っています。

 んー?まあ、寒いからこんなこともあるかな?とたいして気にも留めず、そのまま床につきました。

〜そして、草木も眠る丑三つ時〜

 唐突に目が覚めました。それこそマンガなら『カッ!』と擬音がつくくらい、パッチリと。え?え?ナニコレ?体は昼間の仕事で疲れて眠りたがっているのに、頭の中が変に覚めてて眠れない!!

 頭がひどく興奮していて、そのまま部屋の中をゴリラのようにウロウロしまくる私。しかし、全く眠たくなる気配はなく。白湯を飲んでも駄目。ああ、どうしよう。

 そうだ、こんなときには読み慣れた本を読むと眠くなるかも!昔から読みつけてるマンガを読むんだ!
 本棚から、目についた『BANANAFISH』1巻を手に取ると(昔から20回以上読み返している愛読マンガです^_^;)布団に持ち込んで読み始めました。
 が、マンガのセレクトを間違えました……久々に読むと超面白い!うっかりあともう1巻、あともう1巻と読み進め、気がついたら全19巻を読み終え、時刻は朝の6時……orz

 馬鹿ですか……私は馬鹿ですか。

 これは何事なんだろう?いくらなんでもおかしい。朝の麻黄湯をいただくのは一旦中止して、薬剤師をやっていた母に電話でお問い合わせ。こういうとき、身内に薬剤師いると便利です(^_^;)

私「ねー、急に眠れなくなっちゃったんだけど」
母「何よ、コーヒーでも飲みすぎた?」
私「いや、麻黄湯をこの2日間飲み続けただけなんだけど」
母「なんだ、あたりまえよ。麻黄湯ってエフェドリン入ってるんだから」
私「え?えふぇどりん?何それ?」
母「小さいころ喘息発作起こしたとき、気管支拡張剤使ってたでしょ?あの成分と同じ。あのときもあなたよく、夜中に布団から飛び出して異常興奮して猿みたいにきゃあきゃあ叫んでたよ。あなた薬すごい効きやすかったもんねー」

ま じ で す か ?

お母さん、娘のことを猿って…てか、エフェドリンって何?ググってみると、こんな記述が。
———————————————-
エフェドリン(英: ephedrine)は、充血除去薬(特に気管支拡張剤)、または局部麻酔時の低血圧に対処するために使われる交感神経興奮剤で、漢方医学で生薬として用いられる裸子植物のマオウ(麻黄)Ephedra sinica Stapf に由来するアルカロイドである。(Wikipediaより引用)
———————————————-
交感神経興奮剤……!確かに喘息の薬は、交感神経を興奮させることは知っていましたが(気道は交感神経優位で広がり、副交感神経優位で狭くなります)、まさかそれが、漢方の麻黄由来のものだったとは……!

 そうか、やたら身体が軽くて動ける‥と思ったのは、交感神経興奮のせいだったのか(>_<)

えー?漢方薬って長期間飲んでも大丈夫なものじゃないの?と思っていたらとんでもない!

なんでも、漢方薬もおおきく以下の3種類に分かれるそうで。

上品(じょうほん)→作用が穏やかで、長期間飲み続けて体質改善を図ることができる。健康食品的な使い方が可能。
中品(ちゅうほん)→少量であれば、おだやかな作用で病を水際で食い止めることができる。
下品(げぼん)→発症後にもよく効くが、西洋薬と同じで副作用もおきやすい。量や飲む期間には注意が必要。

 麻黄湯は、中品(ちゅうほん)に属するそうですが、いやはやなかなかの過激な作用。

 また、漢方薬はおおざっぱに『体力が充実した人向け』、『体力が中程度の人向け』、『体力がない人向け』にも分けられ、麻黄湯は実は『体力が充実している人向け』のお薬。どうやら体力がいまいちの私には強すぎるお薬だったようです…。

 よく効くからとダラダラ薬を飲み続けると痛い目に遭うという好例を、我が身をもって証明してしまったのでした(T . T)とほほ。


 ところで最近は、抗インフルエンザウイルス薬であるタミフル、リレンザ、イナビルにもきちんと予防効果が認められ、家族内で感染者が出た場合、病院でもお願いすれば、同居の家族にも予防処置で処方してもらえるケースもあるようです(ただしあくまでも予防のため、健康保険は効きません)。↓
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu/topics/201401/534710.html

 ただ、これらのお薬はインフルエンザウイルスに対抗する強力なものなので、こどもや他に薬を飲んでいる方など、頼んでも止められることもあります。

やはり、漢方であれ、西洋薬であれ、本来は症状が出てから飲むと規定されている薬を、予防処置でむやみやたらに飲むのはいかんのですね‥。

とりあえず、今回の麻黄湯使用で得た教訓。

これは間違いなくインフルの潜伏期だ!という時に緊急避難的に使うのはあり!でも、節々の痛みが消えたらさっさと飲むのをやめるべき!というとこでしょうか?色々勉強になりました。あ、それから、別の基礎疾患があったりして、体力ヒョロヒョロの人は自己判断で飲むのはやめてね!

(これは個人の体験です。読んで実際に使うかどうかはご自身の判断でお願いします)

閑話休題、今回の騒動の中心になった家人といえば。

 予防接種を打っていたせいか、頭痛などの症状もそんなに辛くなかったらしく。熱も下がった後の出社禁止の5日間、暇を持て余しまくり。
 YouTubeで何故かこんこんと怪談話のチャンネルを探して視聴しまくり、仕事から帰って来て部屋を覗いた私をとっ捕まえては、こんこんとその日仕入れた怪談の内容を聞かせてくれたのでした。
 いや、なんで別の部屋で寝てる時に限ってそういうことするかなー(−_−#)怖いやん…‥。

※このコラムは2019年1月に、しんきゅうコンパスに掲載したものに加筆修正いたしました。

川口 西川口 蕨鍼灸指圧マッサージ アロママッサージ

はり灸指圧治療 ぬくまる屋 店主あいざわゆきこ 


【注意!】※漢方薬も「薬」です。普段から常用している薬がある場合、購入するまえに薬局の薬剤師さんにご相談の上、自己責任でご使用ください。
特に『麻黄湯』の場合、向精神薬や、喘息の発作を抑える薬などを使用されている方は、成分が重複する可能性があります。飲む前に必ずかかりつけのお医者様にご相談くださいね。

【健康コラム】インフルエンザと麻黄湯と私 その1 2019
11/30

〜インフルエンザと麻黄湯と私 その1〜
さて、急に寒くなりましたね。今年はかなり早い時期からインフルエンザが流行していますが、皆様は無事に過ごせているでしょうか?

私は昨年の今頃、実は大ピンチを迎えていました。
そう、家人がインフルエンザに罹ってしまったのです(:_;)

 それは、ある休日の朝、家人が『喉が痛い……』と嗄れた声で訴えてきたのが、事の始まりでした。

それはもう、ガマガエルをのみこんだようなすごい声でしたが、温かいコーヒーを飲んだりしたら落ち着いてきたようだったので、午前中は普通に買い物に行っちゃったり。
ところが午後からダルさを訴え始め、少し眠ったらよくなるかもと言いながら、お昼寝タイムに突入。


〜そして3時間後〜

家人の体温39度台に急上昇orz。 が!愚かにもこのときはまだインフルエンザを疑ってはいなかったのです……。

なぜなら、家人はインフルエンザの予防接種を受けていましたから(←ここ、ポイントです!)。

また、自律神経が少し整っていない家人は、原因不明の高熱をいきなり出して(知恵熱みたいなものです(^_^;))翌日にはケロッと下がっているなんてことが、2,3年に一度ありました。

 そんなわけで、今回もそれだろうとあまり深刻に捉えず、その日は普通に消化のよいおじやを食べさせて、早めに寝かせました。
……が、その翌朝。熱がまるで下がっていない…。あれ?

家人は仕事を休んで、近所の診療所へ。私は仕事に出ましたが、1時間ほどして家人からメールが。 「ごめん。インフルエンザ陽性でちゃった」 

……ぎゃーー!!! 

まって、ねえちょっとまって!私、昨日ふつーに同じ部屋で寝起きしてたし、同じ洗面タオル使ったし、大きなお皿からお箸で一緒のおかずつついていたよ!
……いや、ちょっとまて。私インフルエンザ予防接種受けてるし、別に感染らないんじゃ(はかない希望)?
や、家人はわたしより早く職場で予防接種受けてたし!にもかかわらず感染したし(絶望)!!!!! 

……プチパニックに陥ったあと冷静になった私は、これからのことを考え始めました。

えーっと、インフルエンザ感染者は熱が出ると周囲にウイルスを大量に撒き散らすようになる

→熱が出た家人と一緒にいたので、私もウイルスをもらった可能性が高い

→インフルエンザの潜伏期はだいたい1〜3日間位。となると、私も明日か明後日くらいに発熱するかも

→そうすると、どれくらいお店を休まねばならないか?ひとり営業としてはそれが大問題。 

ネットで検索したところ、以下の記述が。

学校保健安全法施行規則の改正に より、インフルエンザの出席停止期間の 基準が「解熱後2日を経過するまで」か ら「発症した後5日を経過し、かつ、解 熱した後2日(幼児にあっては3日)を経 過するまで」と変わりました。

発症した日からかぞえると、6日間の 出席停止が必要ということになります。
「インフルエンザ出席停止期間の基準」早見表
www.sakai-j.ed.jp › school › infulkikan 

ううーむ、大人なので6日は必要でないにしても、やはり発症後5日は休まねばいかんかーorz。
ひとりで自営業やっている身としては大打撃です。でも、鍼灸屋という職業柄、自分が感染源になってしまう事態だけはなんとしても避けたい。 

まずは涙を飲んで、いつ発症してもいいように、むこう一週間分のネット予約受付を塞ぎました。すでに予約が入っているお客様の名前は手帳に控え、急に発熱した場合、どこからでもすぐに連絡できる体制を整えました。
 そして自分の体調をチェック。いまのところ熱は平熱、脈もきれいで、特に咳なども出ていません。 しかし、うっすら喉が痛い感じはあります。そしてなによりも気になるのが、今朝から急に肩甲骨の間に出てきた肩こり……!
 悪寒と重だるさを伴っていて、しばらくすると節々の痛みに広がっていきそうな感じのある嫌な肩こりです。

 うむ、これは超やばい。

 体内でインフルエンザウイルスが着々と増殖していそうな予感……! くう……!このまま発症するのを指をくわえて待つしかないのか……!
 いや、何か手はある。そのときふと思い出したのが、以前に交わした病院の受付をやっていらっしゃるお客様との雑談でした。

 「風邪ひいた時には葛根湯(かっこんとう)がいいってよく言われてるけど、病院の薬剤師さんが『麻黄湯(まおうとう)』ってのもいいよ、って勧めてくれたー。なんでもインフルエンザにも効くんだって!」

  その時はへー、そんな漢方薬があるんですかーと流していましたが、『麻黄湯』、試してみるのは今じゃないの? 最近ハマっている漢方の先生の本『丁先生、漢方って、おもしろいです。』(著者 丁宗鐵、南伸坊 朝日文庫)には、こんな記述があります。(以下30〜31pより引用)
 

『ここで一番大事なことは、発熱反応というのはウイルスの感染に対して、人体が戦うために出しているってことです。ウイルスがだしているわけじゃない。(中略)
    ここ十年くらいの間に、風邪の熱は治めちゃいけないってことになってきましたね。(中略)最近インフルエンザに漢方の麻黄湯を使ってみると早く解熱するというのが話題になっていました。
 麻黄湯を服用すると一時的に熱があがるけれども、早く解熱して、罹病期間は明らかに短くなります。(中略)つまり免疫学の成果ですよね、免疫のしくみがくわしくわかってきたので…』

 つまり簡単にいうと、『麻黄湯』はインフルエンザウイルスそのものをやっつけるというより、ウイルスをやっつける免疫細胞を活発化させることで、体がインフルエンザウイルスをはやめに退治するお手伝いをする薬…と解釈してよさそう。


 この本では、発症してから麻黄湯を使用する記述になっています。
 が、これもしかして、潜伏期に使えば、体の中の免疫細胞がウイルスの増殖そのものを抑えつけてくれて、発症しなくて済むんじゃない?
 これはチャンス。嫌な肩こりはどんどん範囲を広げてきているし、一刻も早く自分の体で実験するしかあるまい。

さっそく近所のドラッグストアで市販の麻黄湯 10包入を購入(第2類医薬品なので、わりとどこのストアでも簡単に買えます)。その日の夕方から服用を始めました。

さて、結果やいかに?!
続きは近日中にアップします。乞うご期待。

アップしました↓続きはこちら

川口 西川口 蕨鍼灸指圧マッサージ アロママッサージ

はり灸指圧治療 ぬくまる屋 店主あいざわゆきこ

※このコラムは2019年1月にしんきゅうコンパスに掲載したものに加筆修正しました。


【注意!】※漢方薬も「薬」です。購入するまえに薬局の薬剤師さんか、登録販売者さんにご相談の上、自己責任でご使用ください。普段常用しているお薬がある場合は必ずご相談ください。
特に『麻黄湯』の場合、向精神薬や、喘息の発作を抑える薬などを使用されている方は、成分が重複する可能性があります。飲む前に必ずかかりつけのお医者様にご相談くださいね。

【健康コラム】イボとレモンと私(『イボと私』シリーズ 最終回) 2019
11/28

『イボと私』シリーズ第5回(最終回)『イボとレモンと私』

〜前回までのあらすじ〜

私の指にできた、いくつもの大きなウイルス性のイボ。

 イボを退治すべく、皮膚科で炭酸ガスレーザー、自らの手で焦灼灸をもって立ち向かうも、いずれもイボのとんでもないしつこさの前に歯が立たなかった。

 やはりここは観念して、液体窒素で灼くしか道は残されていないのか……!絶望する私の前に開かれた新しい道とは……!詳しくはこちら↓

 というわけで、それでも液体窒素はいや!という頑なな信念とともに、ネット検索を繰り返す私。『イボ』『治療』のキーワードを辿っていくうち、いくつかの怪しげな民間治療法にたどり着きました。

その1 イボ取りのまじない

ふたつに割った豆の片方にイボの血をつけておき、もう片方を土に埋めておくと、血のついた豆の半分はもう片方の豆に引っ張られ、イボは豆についた血に引っ張られて取れるというもの〜byトム・ソーヤの冒険

 ↑ふむう?まあ、偉大なる古典だしな。お金もかかんないしな。うちに節分の時に余った炒り大豆もあったしな。やるだけのことはやろう。

 というわけで、カッターナイフでイボをちょろっと傷つけようとしましたが……これ、イボをえぐり取るぐらい傷つけないと、血が出ない!つーか、そもそもイボ自体には血が通ってないので血がでないのでは?ということに気がつき、断念。

その2 ケシゴム療法

イボの大きさに四角くカットしたケシゴムを当て、上からサージカルテープや、キネシオテープでぐるぐる巻にして圧迫。そうするとイボに栄養を与えている毛細血管の血液が滞って、イボに栄養が行かなくなり、イボが壊死する……というもの

↑これ、結論から言いますと、1ミリ程度の小さいイボには確かに有効でした。小さいイボは5日間くらい圧迫を続けると、黒い点みたいになって、手を洗った時に取れてしまいました。

 しかしですね、大きいものになるとやっぱりてんでダメです。圧迫を続けてると、たしかにイボ自体がじんじん痛痒くなってきて、イボの下に赤黒くうっ血した点々がうっすら透けて見えてきます。

 けれど、それ以上の進展はまるでなく。やはり5ミリ以上クラスになると、ケシゴムで圧迫出来てる部分とできていない部分が出てきて、完全に栄養がカットしきれていない感じ。半月ほど続けてみて、断念。

その3 ガムテープ(ダクトテープ)を貼る

なんだかよくわからないけど、ガムテープの粘着成分が効く……らしい?

↑イボが負ける前に、まわりの皮膚がテープ負けしてかぶれだし、一日で断念。

その4 レモンオイルを塗る

http://oranda.blog61.fc2.com/blog-entry-4.html

こちらのブログを参照↑。もともとは椿油にゆずの種を漬け込んだものを塗る療法だったらしいのです。が、イボに効く主成分がゆずの種に含まれるリモネンではないかと睨んだブログ主さんは、手に入れやすいオリーブオイルとレモンの種で代用。見事治ったようです。

↑あら、もともとアロマテラピー検定1級も持ってるこのワタクシ(←さりげない自慢)に、ぴったりの方法だわ!

 というわけで、レモンオイルを作るべく、さっそく以下のものを準備

〜材料〜

・レモン1個(アメリカ産、某マルエツで購入)

・オリーブオイル50ml(化粧品用。某無印良品にて購入)

〜作り方〜

・レモンの皮を包丁で厚く剥く。

・レモン果肉部分を6〜8等分くらいの輪切りにする。

・果肉に挟まってる種を取り出す。

(果肉と果汁はそのままはちみつに漬けて、ビンで保存。炭酸で割って飲むと美味しいです^^)

・できたら種を縦割りにして、オリーブオイルの中に入れる。ついでに皮のお尻部分なんかもオイルに漬け込んじゃう。

・2、3日そのまま置いて、種や皮が底に沈んできたら塗り頃です(常温でも大丈夫ですが、一応食べ物を入れてるし心配という方は冷蔵保存で。その場合は4,5日ほどかかるかも)

………………

【注意!】

1・レモン、ゆずなどの柑橘類に含まれるリモネンには光毒性があります。つけたまま紫外線を浴びると、後でシミになってしまう恐れが。

 顔や日中露出する部位に使用する時は、日光に曝さないように工夫するか、夜のみ使用して、翌朝は洗顔料などで洗い流してください

2.ベースオイルはオリーブオイルに限らず、スクワラン、ホホバ、なんでも有りだと思いますが、必ず化粧品用に精製されたものを使用してください。

 食用のオイルは、身体に必要な栄養分や風味を残すために、精製がほとんどされていないものになりますので、肌につけるとかぶれることがあります。

…………

さて、このレモンオイルをぬるわけですが、なんとなく一抹のもの足りなさと、こんな簡単な方法で大丈夫かと不安を抱いた私。

 そこで、ちょっと効くかに見えたケシゴム療法のアレンジを組み合わせることに。

 レモンの皮を、ケシゴムのようにイボに合わせたサイズの賽の目に切って、瓶に入れて冷蔵保存。これを毎晩寝る前にケシゴム療法の要領でイボにアテて、上からキネシオテープで圧迫して一晩置くことに。

 朝起きると、レモンの皮はすっかりひからびています。皮の厚みがなくなってしまったため、テープと指の間がすっかすかになってしまい、圧迫の効果はなさそう。イボにも変化はなさそう、うーむ。でも、レモンの皮はリモネンも豊富なはず。信じるの、信じるのよ、レモンのちからを!

 日中はイボにレモンオイルを塗りつけて、触ったものがオイルでべたべたしたり、日光があたったりしないように、上からサージカルテープを貼って保護します。1日に2,3回塗り直します。

 こんな感じで日中はレモンオイル→夜はレモンの皮……の繰り返し。表面が多少黄色みがかってはきたものの、痒い感じも痛い感じもなし。んー、やっぱりだめかなあと半ば諦めの境地に達しかけた5日目頃。

 なにげにイボの表面をなでてみると……あれ?ザラザラぼこぼこしていたイボの表面が、少し滑らかな感じになってきてる?イボをきゅっと上から押してみると、それまでは小石みたいだった硬さのイボが、硬化ゴムくらいの硬さになってるような……?これはひょっとして……?

 いや、いかん。ここでまたヌカ喜びして、ただの気のせいでしたーなんてことになったら、私もう立ち直れないし。慎重に慎重に……。

 さらにそれから2,3日後。私、確信しました。うん、これは間違いない。

 イボ、小さくなってる。

なんかすごいです、これ!痛いとか痒いとか、色がどす黒くなるとか、そんなのまったくなしに、ただ静かにイボの表面がゆるゆる溶けていっている感じ。

↑ちなみにこれがレモンオイルを始めてから約10日後のお写真。左が焦灼灸をやっていたころのイボ、右がレモンオイル後のイボです。人差し指の方は、もう写真ではわかりにくいくらい小さくなってます。(小指の爪が茶色いのは、焦灼灸やっていたときに焦がした名残です^_^;)

そうこうするうちに3週間もしたころでしょうか。イボは完全に溶けて消えてなくなり、指の表面はなにごともなかったかのように普通の状態に。特に皮が剥けたり、かぶれたりすることもなく、あれだけ私を悩ませていたイボは、とても静かにフェードアウトしていったのでした………。

でもね………なんでしょう、なんというか、この……

試合に勝って勝負に負けたこの感じ(遠い目)

いや、嬉しい、嬉しいのよ?イボがすっかり消えて。でもね、痛いのを我慢したり、根性入れて灼きまくったり、イボがぼろっと取れて驚喜乱舞したり、また生えてきて、絶望のどん底に叩き落されたり……そんなのが、こんなあっさり痛みも痒みも苦労もなく3週間弱でさらっと跡形もなくなっちゃって……ってさ……。

あの苦労した約半年近くの攻防戦はなんだったの(´;ω;`)!

ある種のせつなさを胸に残し、イボと私の戦いは、レモンオイルの圧倒的勝利をもって幕を閉じたのでした。

 ちなみにその後3年以上経ちますが、イボが再発することもなく、私の指はつるっつるです……鍼灸師としては、お灸で劇的に治りたかったなあ……。

さて、長かった『イボと私シリーズ』もコレで終わり。5回かけてワタクシの得た結論はこちら↓

ウィルス性イボ(尋常性疣贅)にはレモンオイル、使えるよ(悔しいけど)!

しつこいイボに悩まされている人は、騙されたと思って、一度試してみてくださいね(イボの種類にもよると思うので、効かなかったらごめんなさい!)

西川口 蕨 鍼灸マッサージ

はり灸指圧治療 ぬくまる屋 店主 あいざわゆきこ

※この記事は2017年8月に、口コミサイト『しんきゅうコンパス』に載せたものに、加筆修正したものです。

<【注意!】このコラムで紹介している、イボに対する一連の治療法とその結果は、あくまでも私自身が体験したものであって、全員に当てはまるものではありません。また、最初は必ず皮膚科のお医者さんに診てもらって、悪いものではないことを確認してもらってください。素人判断は、時に危険な結果をもたらします〉

【健康コラム】イボとお灸と私 実践編(『イボと私』シリーズ第4回) 2019
11/12

〜前回までのあらすじ〜

 私のゆびにできたウイルス性のでっかいイボを取り除くべく、果敢に戦おうとする私。

 しかし元来がヘタレなため、液体窒素は怖くてだめ!

 炭酸ガスレーザーは、『一週間に一度以上の治療は保険が効かない』という巨大な経済障壁が立ちはだかった!

 そこで思い出したのが、鍼灸師の間に古来から伝わる『焦灼灸(しょうしゃくきゅう)』!イボの上にごそっともぐさを乗せて燃やしきり、イボを組織ごと灼ききる方法。さて、お灸はイボに勝てるのか!?

詳しくは前回までのコラムを参照ください

 というわけで、憎きイボを灼ききるべく、毎晩寝る前に焦灼灸を実践してみることになりました。

用意するものは

1.灰皿

2.もぐさ

3.お線香

4.メンタムリップ、またはハンドクリーム

5.ライター

6.自分で自分の指を灼く勇気

以上6点。特に6は重要。

 方法は簡単。

→まずはもぐさを固定しやすいように、イボの上にリップクリームかハンドクリームをうっすら塗る(個人的にはスティックのリップクリームのほうが、ほどよくピンポイントに塗れるので便利だと思います)

→もぐさをイボと同じくらいの大きさに丸めて、イボの上に乗せる。

→ライターで点火したお線香の先をそっと近づけて、もぐさに点火する。

→もぐさが燃えきるのを待つ。

→燃えきったもぐさの灰を灰皿に捨てる。

これだけ。

 とりあえず、いつものクセでお米粒の半分ほどの量のもぐさを丸めてイボに乗せ、おそるおそる燃やしてみる………。何もかんじない。

 あれ?……あ、そうか。イボが厚いので、小さなもぐさを燃やしたくらいじゃ下まで熱が通らないんだ。表面もうっすらキツネ色の点がついただけ。これじゃあダメだ。

 次はもぐさをさっきよりかなり大きい麦粒大に丸める。燃やす……だめだ、やっぱりなにも感じない。

 しかし、これ以上大きくもぐさをまとめるとイボからはみ出してしまうので、麦粒大のもぐさをひたすら乗せて燃やしつづけることに。

 5,6回も焼き続けた頃でしょうか、イボの表面もキツネ色から黒いおコゲ色に変わってきました。と、同時にぎゅううっとつねられるような熱さキターーー!!!おもわず指が動きそうになるけど、ゆびの付け根を反対の手でしっかり抑えて耐える!がんばる!

 2,3秒もがんばっていると、すぐにもぐさは燃え尽きて、熱さがすうっと落ち着きました。灰を払ってみると、下のイボは真っ黒こげ。おお、これはいけるかも!

 とりあえずはそこからもう一度だけ、ぎゅううっとあっつーいお灸をやって、その日はこれでおしまい。

 手を洗うと、真っ黒焦げなイボの色が少しうすくなりましたが、全体的にこんな感じ。おお、ちょっとグロい。↓

 翌日も同じようにしてみましたが、こんどは2,3回ほど灼いたくらいで、ぎゅうっとなる熱さを感じてきました。お、これはイボが少しだけ薄くなってきてる?

 しかし、イボの表面はあいかわらずぷっくりしていて、ごわごわ。お灸で灼くことで水分が抜けてきたのか、炒った黒豆のようなカチカチな硬さになってきました。

 毎晩のお灸を10日ほども続けた頃でしょうか。イボの下にある皮膚がうずうず痒く感じてきました。うずうずして、おもわずイボの上から軽く爪で抑えます。最初は点で感じていた痒みが、どんどん広がっていきます。

う、痒い……かきむしりたい。でも、かちかちのコゲたイボが邪魔でかけない。……あー!もうだめ!思わずイボを爪で掻いたら、イボがぼろんと取れて、下からピンク色のつやつやした赤ちゃん皮膚が……!!

やった……やったあ!取れた!取れたよエイドリアーン!!(←ここでロッキーのテーマが高らかに鳴ってます)

 見てください!このきれいに取れた痕のキレイな皮膚を!勝った!お灸がイボに勝った!これにて一件落着!

…………といきたいところなのですが、残念ながらこれでおわりではなかったのです……。

 そう、お気づきのかたもいらっしゃると思いますが、イボが剥がれた痕に残っている、白い皮のようなもの。これ、皮ではなくて、イボの灼け残りだったんです……。

 やっぱりどうしても灼きムラがでてきてしまいます。2,3日はキレイだったのですが、炊事をするたびに灼け残りのイボが白くふやけて、またもやゆっくり育ちはじめました……。

 仕方がない、また灼くかー。うっすら生えて来た小さいイボに小さくもぐさを乗せて、火をつけます。ところがですね、これが……あぢっ!あぢあぢあぢーーいい!!思わず途中で火を消してしまいました。

あれ?だめだ。耐えられない熱さ。

 そう、いままでは大きなイボが壁になってくれていたので、燃やしきっても熱さに耐えられていたんですね。

 ところが、こんどはイボが薄くて小さい、しかも下は、生まれたてほやほやの敏感なあかちゃん皮膚。ヘタレな私が自ら灼ける熱さではありませんでした……(T_T)。

 また灼ける程の厚さにイボが育つまで、手をこまねいて見ていることしかできないのか……10日ほどで、イボはまた立派に育ち、また黙々と灼き、ボロリと落ちてはまた育ち……の繰り返し。あれ?また賽の河原で石を積み上げていく感じになってきた……(´;ω;`)

 やっぱりだめなんでしょうか?やっぱり液体窒素に頼るしかないんでしょうか?Google先生、答えてください……!

 求めよ、さらば与えられん

 そんな声が聞こえたかどうかは知りませんが、イボの痛くない治療法を必死に追い求め、検索を繰り返す私に、Google先生は思いもよらない方法を示してくれたのでした……!

 次回、いよいよ『イボと私』シリーズ最終回!イボとのあくなき戦いに終わりが見える日が遂にやってくるのか……!次回いよいよ最終決戦。乞うご期待!

※この記事は2017年8月に、口コミサイト『しんきゅうコンパス』に載せたものに、加筆修正したものです。

西川口 蕨 鍼灸マッサージ

はり灸指圧治療 ぬくまる屋 店主 あいざわゆきこ

<【注意!】このコラムで紹介している、イボに対する一連の治療法とその結果は、あくまでも私自身が体験したものであって、全員に当てはまるものではありません。また、最初は必ず皮膚科のお医者さんに診てもらって、悪いものではないことを確認してもらってください。素人判断は、時に危険な結果をもたらします〉

【健康コラム】イボとお灸と私 解説編(『イボと私』シリーズ第3回) 2019
10/31

『イボと私』第3回 『イボとお灸と私(解説編)』

〜これまでのあらすじ〜

 指に出来たでっかいイボを取り除くため、皮膚科で炭酸ガスレーザーをあてて灼いてもらう私。

 が、灼けてイボが小さくなったと思ったら、すぐに育って元に戻る……の繰り返し。業を煮やした私は、イボが元に戻る前に連続でレーザーで灼く事を希望する。

 しかし、1週間に1度以上の治療には保険が適用されない……という大きな壁が立ちふさがった。さあ、どうする私?

詳しくはこちら↓

『イボとマッサージと私』

『イボとレーザーと私』

 ……というわけで、同じ灼くなら、焦灼灸(しょうしゃくきゅう)で灼くのも、レーザーで灼くのも、同じではないかと思い至ったワタクシ。

 思い立ったら吉日。その晩から、毎晩麦粒くらいの大きさにまるめたもぐさをイボの上にこんもり乗せて、じゅうじゅう灼いてみることにしたのでございます。

さて、ここで解説。

 巷間で、女性疾患や冷えにいいと話題になっているお灸ですが、そもそもお灸ってどんなもの?というご質問をお客様から頂いたので、ざっと説明してみますね。

↑瓶の中に入っているのがせんねん灸、缶に入っているのがもぐさ。せんねん灸はライターを、もぐさはお線香を使って点火します。

 お灸とは、もぐさ(よもぎの葉の裏に生えている、白い細かい毛を集めて乾燥させたもの)を軽く指で丸めて皮膚におき、火を点けて燃やし、その熱で身体のツボを刺激し、体調を整えていく民間療法のひとつ。

 三千年ほどの前の中国北部で発祥し、それを学んだ遣隋使や遣唐使が仏教と共に灸法を広めたのが、日本でのお灸のルーツとされています(昔のお寺は布教以外にも、地域の孤児院や学校、お医者さんの役割も果たしていました)。

 お灸には、目的に応じて、いくつかのやり方があります。

 まず一番の大きな違いは、火傷痕を残すか、残さないか、です。

①もぐさの燃焼している部分を、直接皮膚にあてないようにする(火傷痕をのこさない)

➁もぐさの燃焼している部分を直接皮膚にあてて、軽く皮膚を焦がすようにする(火傷痕をのこす)

 最近の鍼灸院では、美容的、衛生的観点から、①の無痕灸が主流です(温灸ともいいます)。一口に無痕灸といっても、いくつかのやりかたがあります。

a.知熱灸

 お米粒の半分くらいの大きさにまるめたもぐさを、狙ったツボの上に置き、半分から3分の2位燃えたところで、もぐさを指でつまんで消火してしまう方法。

 患者さんには、熱のちくっとした刺激は伝わりますが、直接火が皮膚まで届くわけではないので、火傷は起こしません。

 当店(はり灸指圧治療ぬくまる屋)では、逆子の灸やものもらいの灸など、指先のツボをピンポイントで狙いたい時に、この方法を使っています。

b.棒灸

 たばこのように紙で巻いて細長い棒状にしたもぐさの先に点火し、燃焼部分を患部に近づけて、放射熱で温める方法。

 じっとしていられないお子さんに使ったり、髪の毛周辺など、お灸を直接乗せて火を点けるのが難しい部位を温めるのに使います。

 私もこどもの頃、喘息発作を起こした時に、この棒灸で背中を温めてもらっていました。

c.隔物灸

 もぐさと皮膚の間に、生姜やにんにくをスライスしたもの、または塩や味噌などを挟むことで、もぐさを燃やしきっても皮膚に火が直接あたらないようにする方法。

 熱とともに、間に挟んだ生姜などの成分がじんわり浸透して、身体にいいとはいわれますが、そこは私はよくわかりません。ただ、ほどよく暖かくて気持ちの良いお灸であることは確かです(あと鍼灸院全体が、なんだか食欲をそそる匂いでいっぱいになる^_^;)。

 薬局で市販されている「せんねん灸」も、この隔物灸の一種。ちいさな筒状にくるまれたもぐさの下に、厚い不燃性の台座を挟むことで、火が直接皮膚に当たらないようにしてあります。

 当店で使っているのも、基本はせんねん灸です(台座の裏にシールがついていて、しっかり皮膚に固定されるので、お灸をしながら他の部位のマッサージをすることが可能になります)。

 その他、バリエーションとして電気温灸や、びわの葉灸、イトオテルミーなどがありますが、これらも温灸の一種であることには変わりありません。

そして、➁のお灸を有痕灸といいます。つまり小さなやけどをわざと皮膚の上に作ることで、身体全体の免疫力をあげる方法です。

A透熱灸

 お米の半分くらいの大きさに小さくまるめたもぐさを、ツボの上にのせて、焼き切ります。皮膚の上には2,3日で治る小さな火傷ができます。火傷は皮膚の表面を焦がす程度の浅いものなので、痕はほとんどのこらないし、強めの刺激が好きな方に向いています。

B打膿灸

 昔銭湯に行くと、脚の側面や背中に規則的に黒い点々がある、おじいちゃんやおばあちゃんをみかけませんでしたか?あれが打膿灸の痕です。

 打膿灸とは、わざと強めに皮膚を灼くことで、深めの火傷をつくり、膏薬などを使って痕を化膿させることで免疫力を高めようとする方法です。昔は膿をつくるくらい火傷させないと、身体の免疫力が高まらないと考えられていたので、この方法が普及していました。

 しかし戦後の研究で、わざわざ火傷をつくらなくても、熱で「あちっ」と思わせるだけで、身体が火傷したと勘違いして、ないはずの火傷を治すべく免疫機能が活発に働きだすということがわかってきたので、現在は美容的な観点と細菌感染のコントロールの難しさから、ほとんど行われることはありません。

C焦灼灸

イボやウオノメに、大きめに丸めたもぐさを直接乗せて灼ききることを繰り返し、組織を焦がして破壊する方法。

 

……というわけで、私の指のイボに使ったのは、最後に解説した焦灼灸です。

 鍼灸師になってからこのかた、知熱灸、透熱灸はさんざんやってきたものの、こんなに強い灸法を実際に使用するのは初めて。どきどきしながら実践に臨んでみたのであります……。

 次回『イボとお灸と私(実践編)』。さて、お灸は私のイボを灼き尽くすことができるのでしょうか?

※この記事は2017年8月に、口コミサイト『しんきゅうコンパス』に載せたものに、加筆修正したものです。

西川口 蕨 鍼灸マッサージ

はり灸指圧治療 ぬくまる屋 店主 あいざわゆきこ

〈【注意!】このコラムで紹介している、イボに対する一連の治療法とその結果は、あくまでも私自身が体験したものであって、全員に当てはまるものではありません。また、最初は必ず皮膚科のお医者さんに診てもらって、悪いものではないことを確認してもらってください。素人判断は、時に危険な結果をもたらします〉

【健康コラム】イボとレーザーと私(『イボと私』シリーズ第2回) 2019
10/28

〜前回までのあらすじ〜

 鍼灸マッサージ師の命ともいえる私の指にできてしまった、大きなウイルス性のイボ。

 その爆発的増殖に怯えたワタクシは、おっかなびっくり皮膚科の門をくぐった。

 優しげな先生は、ワタクシのおびえっぷりをみて、炭酸レーザーでの治療を提案してくださったのであった……。

詳しくはこちら↓

 というわけで、今回は『イボと私』シリーズ第2回『イボとレーザーと私』をご笑覧ください。

さて、皮膚科で提示された治療法、炭酸レーザーとは?

 正しくは炭酸ガス(CO2)レーザーといいます。ネットで検索すると上位に美容整形外科、皮膚科の名前がずらりと出てきます。美容整形では、ほくろ除去やイボ除去に使われているようです。

 高出力の赤外線領域の連続波で細胞が一瞬で蒸発するように灼かれるので、痛みも一瞬。

ピンポイントで焼くので、他の皮膚を余計に灼かなくて済む。

また、レーザーの熱でイボの細胞を灼く時、周辺の血管も熱凝固作用で固まるので、出血もすくないとのこと。

痛みも液体窒素よりは少なそうです。

 ただし、美容整形、皮膚科では健康保険を使わせてもらえないので、お高い!何気にみた美容皮膚科HPで告知されていたイボ直径1ミリあたりの治療は、約5000円。私の指に出来たイボは、どう見ても5ミリ超のが4つも……!!

あ、無理。健康保険使わないと無理。

 ええっと、2015年当時のレーザーによる保険診療では、イボが3つまでなら1回の治療あたり750円強、4つ以上で1000円位だったように記憶しています。正確な値段を記録してません……。ごめんなさい。

 というわけで、いざレーザー治療体験!

先生「痛いけど、ちょっと動かさないでね」

目を保護するためにごっついゴーグルをかけた先生が、がっちり私の手首を抑えて、慎重に指先のイボにレーザーをアテていきます。

 炭酸ガスがぷしっと音を立てる度に、レーザーが私のイボを灼いていく。すぐにたんぱく質の焦げる匂いがしてきました。

でも、一向に痛いという感覚はなし。なんだ、楽勝じゃーんと思っていたら、何発目かのぷしっという音ともに、指先にちくーんと木綿針を刺したような痛みが!はう!

厚いイボの層を貫いて、下の皮膚にレーザーが届きはじめた!!

でも、動かすと先生と私の手が危ない。オトナなので声をだすわけにもいかない。

ちくーん、ちくーんと来る度に、鼻からぶふっぶふっと息を吹いて耐える私。

その気配を察したか

「ごめんねー、指先だもんねー、痛いよねー、がんばって!」

と、励ましの声をかけながら、ちくちくレーザーをあてていく先生。

ぷしっ!ぶふっ!ぷしっ!ぶふっ!ぷしっ!ぶふっ!

炭酸ガスと私の鼻息が素敵なコラボレ―ションを奏でること、約5分。第1回目の治療、終了。

 みれば白っぽかったイボは、灼けてほどよいキツネ色に。横からみたら、指の上にカルメ焼きのように盛り上がっていたはずのイボが、おせんべいのようにぺったんこになっているではないですか!

こんなんだったのが↓

こんな感じに!↓

(当時の治療後の写真を撮り損ねたので、イメージ写真でご勘弁ください)

おお、これはいけるかも!また一週間後に来るように言われ、うきうきしながらお家に帰り、一通りの家事炊事を。すると、ぺったんこでスリムだったイボがまたふやけて、むくむく膨らみはじめました。……ん?なんか嫌な予感。

その予感は現実のものとなり、ふたたびイボは育ち始め、次の治療までにほぼ治療前と同じくらいの大きさに戻ってしまいました。

私「痛くってもいいので、もうちょっと深めに灼いてください!」

先生「んー、がんばって!」

 ぷしっ!ぶふっ!ぷしっ!ぶふっ!ぷしっ!ぶふっ!ぷしっ!ぶふっ!

 先生にがんばってもらった結果、おせんべいより凹んだ感じに。今度はいけるか?イボの端の方が小さな黒いかさぶたみたいになって、ぼろっととれました。おお!いけるかも!

 ………が、水仕事でふやけると、イボが剥けた痕に白い膜みたいなのがでてくる。その白い膜がまたむくむく育ってイボに。……1ヶ月ほどずーっとその繰り返し。わずかに最初よりは小さくはなってきたものの、なんだか賽の河原で石を積んでる気分。

 ん?でも待てよ?治療間隔を1週間もあけるから、せっかく削れたイボが育ってしまうんじゃない?連日通えば、イボが育つ間もなくどんどん灼かれていって、撲滅されるのでは?

が、ここで思わぬ障害が立ちはだかった!

先生「んー、ごめんなさいね。1週間に1度以上治療すると、保険適用外になっちゃうのよ」

がーん!それじゃ私のイボはもう永遠に(?)、灼かれては育ち、灼かれては育ち……の繰り返しじゃん!

だめかーorz。やっぱり液体窒素の綿棒を押し当てる方法しか残ってないのか……!

が、その時私の頭にひらめくものが。灼く……灼ききる……そうだ!焼灼灸(しょうしゃくきゅう)があるじゃないか!

そうです、忘れてました。私は鍼灸師なのでした。保険で灼き切れないのであれば、自分でお灸を毎日やって灼き切ってしまえばいい!

次回、鍼灸師の本分に目覚めたワタクシが、東洋医学の力でもってイボに立ち向かいます!さて、勝てるのか?次回へ続く(焼灼灸の説明も次回にやります)!

※※このコラムは2017年8月に『しんきゅうコンパス』に掲載したものに加筆修正したものです。

西川口 蕨 鍼灸マッサージ

はり灸指圧治療 ぬくまる屋 店主 あいざわゆきこ

〈【注意!】このコラムで紹介する、イボに対する一連の治療法とその結果は、あくまでも私自身が体験したものであって、全員に当てはまるものではありません。また、最初は必ず皮膚科のお医者さんに診てもらって、悪いものではないことを確認してもらってください。素人判断は、時に危険な結果をもたらします〉

【健康コラム】イボとマッサージと私(『イボと私』シリーズ第1回) 2019
10/20

短期集中連載『イボと私』シリーズ第1回

『イボとマッサージと私』

↑これが私の指に出来たイボです。

 皆様はイボができたことがあるでしょうか。私はあります。経験された方はわかると思いますが、あれ、超しつこいんですよねえ。数年前、しかも商売道具である手の指にできてしまいました。今でこそ綺麗に治ってつるっつるになっていますが、あまりにしつこいイボに悩まされ、当時は一生治らないんじゃないかと絶望していました。これは、そんなイボと私が戦った全記録です(ちょっと大げさ^_^;)。

 なので長いです。全5回。なに引っ張ってるんだとお思いになるかもしれませんが、お悩みの方はどうぞお付き合いくださいませ。

 最初のイボは、右小指の爪のよこにできた小さなささくれがきっかけでした。爪に沿って縦に皮が剥けてしまい、痛いなあ……と思っていたら、傷口が塞がるにつれ、そこを覆うように半透明の魚の目のような皮膚がもりもりと盛り上がってくる。触るとかちかちです。

 乾燥肌な私は割と頻繁にささくれを作っていたので、当初は、あんまり剥けすぎて角質化しちゃったのかな、みっともないなあ……位にしか思っていませんでした。お風呂に入るとその部分はふやけて真っ白に。柔らかくなったところを爪でほじると、その白くなった角質のようなものがめりめりと剥がれて、下にはピンク色の新しい皮膚ができている。しばらくするとまた固い半透明の角質のようなものが盛り上がってきて、元通りになってしまう……の繰り返しでした。

 そのうちに、右小指の背にも大きな角質の玉が2つできてしまい、その時に初めて「これはイボではないか?」と気がついたのです。

 さて、この皮膚がカッチカチに固くなったようなイボの正式名称は『尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)』といいます。

 みっともないだけで、特に悪さをするものではないのですが、問題はこれがウイルス性であるということ。HPV(ヒトパピローマウイルス)によるものなので……つまり感染します。

 だから、最初にできたイボに沿う形で第2、第3のイボが出来てしまったのですね。

 そこまで感染力の強いものではないのですが、傷口が出来ているところに直接触れたり、疲れて免疫力が下がっていたりすると、ウイルス性イボは爆発的に増えていきます。

 当時はたまたま、直に肌には触れずタオルの上からマッサージする仕事についていて、鍼の仕事をおやすみしていました。

 なので、幸いなことにお客様に感染する心配はまずなかったのですが、ただでさえ乾燥肌なのに、マッサージする度にタオルに皮脂がとられてしまい、手は常にがっさがさ。そのせいで細かい傷が常に手にある状態になっていたので、イボが広がってしまったのです……。

 それでもまあ、右小指の背だし、鍼の時も直接触れるとこじゃないし、まあいっかーぐらいにゆるく構えていましたが、今度はシャレにならないところに出来てしまいました。

 なんと左人差し指の腹側……!鍼をする時に、ツボを探す為の重要な指!

この先、また鍼灸がメインの仕事になってしまったら、さすがに洒落になりません。

やっぱりこのままじゃまずいよね?

 いろいろ調べてみると、皮膚科に行って、液体窒素でイボを焼いてもらうといいとのこと。

 液体窒素……あのマイナス196度の白いもわもわ煙がでている液体の中に突っ込んだ綿棒を患部にジュっと押し当てる、アレだよね。

 ……ううーむ、別件で一度やってみたことあるけど、あれって痕がしばらくは相当……痛い!しかも今回は指先。ただでさえヘタレの私が耐えられるのか?つーか、指が使い物にならなくなって、しばらく仕事休まないといけなくなるんじゃないか?

 しかし、背に腹はかえられぬ…!

 ビクビクしながら近所の皮膚科に向かうと、優しそうな先生が私のイボを診て、尋常性疣贅と診断。そして、ネコに睨まれたカエルのごとく青くなって、恐怖でびびりまくっている私の様子をみて、痛ーい液体窒素ではなく、炭酸レーザーで焼き切ることを提案してくださったのです。ありがとうございます!

 さて、ワタクシの指に生えたイボは、無事に炭酸レーザーによって退治されるのでしょうか?

次回『イボとレーザーと私』!

心して待て!(←いや、だからそんな大げさなもんじゃ……^_^;)

※このコラムは2017年7月に『しんきゅうコンパス』に掲載したものに加筆修正したものです。

第2回公開しました。

西川口 蕨 鍼灸 指圧 マッサージ

はり灸指圧治療ぬくまる屋 店主 あいざわゆきこ

〈【注意!】このコラムでこれから紹介する、イボに対する一連の治療法とその結果は、あくまでも私自身が体験したものであって、全員に当てはまるものではありません。また、最初は必ず皮膚科のお医者さんに診てもらって、悪いものではないことを確認してもらってください。素人判断は、時に危険な結果をもたらします〉

【健康コラム】乳酸菌と乳酸と筋肉の疲労 2019
10/10

 この前、お客様と以下のようなやりとりがありまして。(わかりやすいように、一部やりとりを改変しています。ご了承ください)

お客様「ヨーグルトとかに入っている乳酸菌って身体にいいっていうじゃない」

ワタクシ「そうですねー、乳酸菌などの善玉菌とよばれるものを食べると、お通じがよくなるとか、おならが臭くなくなるとか、腸の中の環境がよくなるっていわれてますねー」

お客様「でもさー、筋肉を使いすぎて筋肉痛になると筋肉に乳酸がたまるっていうじゃない、あの乳酸とはちがうの?」

ワタクシ「あ、ちょっと違いますね。ヤ◯ルトとかに入っているのは乳酸『菌』であって、腸のなかで食べ物のカスを分解して乳酸を作り出す生き物なんですね。

で、筋肉にたまる乳酸は、筋肉をつかう為のエネルギーを代謝することでできる老廃物、いわば筋肉のおしっこのようなものだと考えていただければ……」

お客様「えー?おんなじ乳酸なのに、なんで腸にはよくて筋肉にはダメなの?筋肉痛の時に乳酸飲料とか飲みすぎると、吸収されて筋肉痛ひどくなったりしちゃわないの?」

ワタクシ「(……うっ……そう言われるとよくわからん……-_-;)と、とりあえずは、そういうお話は聞いたことがないので、安心して飲んでいいとおもいますよ……(超ごまかし)」

 ……というような鋭いご質問をいただき、その場で上手に答えられず、ちょっとはぐらかしてしまいました。Nさん、ごめんなさい。この場を借りてちゃんと回答いたします。

 いやー、教科書とか、ネットとかすごい読み漁っちゃいましたが、微妙にまだ怪しい(生理学と化学、超ニガテだったんです……ごめんなさい)。

 一応ワタクシなりに理解したことを書いてみますが、そりゃ違うよというご指摘がありましたら、ぬくまる屋公式HP問い合わせフォーム経由でご指南いただけると助かります。ご意見頂戴しましたら、ぜひ公開させていただきたく思います。

1筋肉の中でできる乳酸と、その働き

 筋肉を動かす時にはエネルギーを使います。

 このエネルギーの大元は、糖(グルコース)です。

 この糖が筋肉にある細胞の中で分解されてATP(アデノシン3リン酸)という、筋肉を動かすガソリンに変わります。

 さて、この分解する過程を解糖系といいますが、酸素とビタミンB群が充分在る状態で(つまり有酸素運動のときね)糖が解糖されると、たくさんATPができる。そして、ATPがADP(アデノシン2リン酸)と(P)リン酸に分解されるときに、大きな力をだすことができるのです。

 ところが、激しい運動で酸素が足りなくなってくると(つまり無酸素運動)、それでも筋肉の中の細胞は糖からATPを作ってくれるのですが、大部分の糖は乳酸になってしまいます。

 激しい運動のあとに血液をしらべると、乳酸の量が大変多くなっているので、この乳酸が筋肉疲労を引き起こしている原因なのではないかと、今までは言われてきました。

 ところが最近の研究では雲行きが変わってきています。

 どうやら疲労をひきおこしているのは乳酸ではないらしい説が21世紀にはいって飛び出してきました。

では、疲労を引き起こしているのはなんなのか?

 ATPが分解される時に出来るリン酸が、筋肉を収縮させる時に必要なカルシウムイオンと結合、筋肉を収縮させる動きを悪くして、筋肉のこわばった感じをつくりだしてだしているのではないか?という説。

 そしてFF(ファティーグファクター)という、活性酸素が細胞を傷つけた時に発生するたんぱく質が原因なのではないかという説。

このふたつの説が主流になってきました。

 と、なんとまあ、いままでずーっと乳酸に濡れ衣を着せてたわけです。乳酸、ごめん、悪者にしてごめん!

 じゃあ、激しい運動でたくさんできた乳酸はどうなるのか?

 これらは一時的に筋肉内にとどまったのち、酸素が供給されてくると、また細胞内にとりこまれ、再利用されてATPを作り出すんだとか……。さらに血中に放出されて肝臓に集められた乳酸は、グリコーゲン(体内で余った糖が、緊急時にエネルギーとして使えるよう肝臓に備蓄しておくために、形を変えたもの)に変化するんだとか……。

 がびーん!乳酸、筋疲労の原因どころか、再利用されて筋肉を動かすガソリン、ATPを作り出すのにすごく役立ってるじゃん!なんかごめん!すごく、ごめん!

 すみません、図は1996年発行の教科書(『目でみるからだのメカニズム』堺章著 医学書院)のもので、まだ乳酸を『疲労物質?』としていますが、これ以上にわかりやすい図を拾えなかったんです……。乳酸犯人じゃない説がでてきたのが2004年以降……FF説が出てきたのが2008年以降……まだまだこの分野は説が変わっていく可能性が高いです。

2腸の中でできる乳酸と、その働き

 腸の中では乳酸を作るのに、ヒトの細胞ではなく乳酸菌達がその役割を果たします。

 つまり、大腸までやってきた食べ物のカスの中に残っている糖を乳酸菌が自身の活動のために食べて、乳酸菌の中で解糖系が働いて、乳酸を作り出す……ま、いわば腸の中の乳酸は、乳酸菌のう◯このようなものなのですね(^_^;)。

 そして、出来た乳酸は腸の中を弱酸性に保ち、人体に有害なアンモニアなどの毒素を作る悪玉菌が腸内で活動しにくい環境を作り出します。

 また、乳酸は腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸内の老廃物を体外に排出するために腸全体が動く)を促し、便秘を解消してくれます。さらには、カルシウムを吸収するのを助けてくれるのだそうです。乳酸、腸の中では超有能!

また、乳酸菌は、死骸となっても役にたちます。食物繊維とおなじように、悪玉菌を自らの身体にくっつけて道連れにして、う◯ことして体外に排出されていくのですね。

 死してなお、働くなんて……乳酸菌……お前もなんていいやつなんだ(T_T)!!

3で?結局、結局乳酸菌飲料って、筋肉が疲労している時に飲むと悪化するの?

悪化するもなにも、乳酸自体がどうやら疲労物質ではないらしいので……。というわけで、問題はないです。

 ところが、カ◯ピスなどは常温流通で発酵がすすみ過ぎないよう、乳酸菌を加熱殺菌しているのだそうで、腸に届くのは死菌のみ(冷蔵輸送のヨーグルトや、ヤク◯トなどは菌を生かしているものが多い)。それって意味あるの?と思わなくもないのですが。

 しかし、殺菌された飲料自体にも菌がつくりだした乳酸が含まれるし、ATPの材料になる糖分が大変高いので、むしろ疲労快復に役に立ちそうです。

 ただし、飲みすぎるとその糖分の高さ故、こんどは別の健康問題が生じるので、ほどほどにしてくださいね(こころからのお願い)。

 あ、それから全身の血流をよくすることは、筋肉中にだぶついた乳酸をはやめに肝臓におくりこみ、細胞のすみずみに酸素を行き渡らせ、筋肉疲労快復をはやめると思います。

 というわけで、激しい運動のあとの、軽い運動やマッサージ、鍼灸は筋肉疲労快復に効果的ですよ(←ここ、鍼灸マッサージ屋としては是非とも主張せねばならない)。スポーツや夏のご旅行で疲れた後に、お試しください(^_^)。

※この記事は2017年7月に『しんきゅうコンパス』に掲載したコラムの再掲になります。

西川口 蕨 鍼灸マッサージ

はり灸指圧治療 ぬくまる屋店主 あいざわゆきこ

【健康コラム】湿気とむくみと女子のお悩み 2019
10/8

 秋です。運動会などにふさわしい季節のはずなのに、なんだかここのところ変な感じ。カラっとした過ごしやすい陽気が続いたかと思えば、じめじめじっとり残暑で雨がふってきたり。ふー、暑い感じですね。乙女心と秋の空…とはよく言われますが、今年は変わり身がはやいにも程があります。

 こんな季節は、なんだか全身がだるい、脚がむくむ、おなかを下し気味、腰がおもだるい……なんて症状が出て来ている人も多いのではないかしら?

 それは、きっとこの湿気が身体に悪さをしているせいです。東洋医学では、湿気が身体に及ぼす悪い影響のことを、まとめて「湿邪(しつじゃ)」と呼んでいます。

 では、湿気は身体にどんな悪さをするのでしょうか?以下鍼灸学校で使っていた教科書より一部抜粋しますね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1.湿は陰性の邪気で人体の下部を犯しやすい(下注性)

湿は水に似て、下にに流れる性質がある。そのため湿邪は、人体の下部を犯すことが多い。

 例えば、むくみなどは下肢に著明に現れる。その他帯下(筆者注;おりもののこと)脚気、下痢など下半身の症状が現れやすい。

2.湿は重く、停滞する(重濁性、粘滞性)

湿邪が体内に侵入して、陽気(筆者注;主に身体の表面を流れていると考えられている気のこと。衛気とも呼ばれ、外から侵襲してくるものに対するバリアのような役割を果たしていると思われている)が損なわれると、頭や身体が重く、四肢がだるいなどの症状が現れる。

 また湿邪が関節に滞ると、関節が痛み腫れる。これを体重節痛という。

 湿邪には、動きが遅く停滞する性質があるので、湿邪による病は治りにくく、繰り返し再発することもある。

3.湿は脾胃を犯しやすい

 湿邪が脾胃を犯して、消化吸収の能力を損ない、津液(筆者注;『しんえき』と読む。東洋医学では体内を流れる血液以外の水分の総称。唾液やリンパ液、細胞間質液などが相当するか?)を運ぶ機能が悪くなると、下痢、尿量減少、腹水、むくみなどの症状が現れる。

4.自然界以外の湿邪

天候の湿邪以外にも、汗で濡れた下着を長く着た場合などにも湿邪による疾病になることがある。現代では汗を吸い取りにくい化学繊維の下着や、パンティーストッキングなどを着用することにより、湿邪による病を引き起こすことがある。

    社団法人東洋療法学校協会編:『東洋医学概論』より

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ま、ものすごくアバウトに言えばですね、湿気の多い気候の時は、身体の下半身に水がうまく流れずに溜まって、そいつが身体をひやしたり、胃の働きを抑えて消化をわるくしたりするんだなーって、考えていただければ。そりゃだるいはずですわ。

 ところで、上記3に「湿は脾胃を犯す」とありますが、「脾胃」ってなんでしょう?『』はおわかりかと思いますが、腹の中にあって、食べ物を消化したり、ストレスたまると穴が空いたりする器官です。さて問題は『』。これはなんでしょう?

 古代中国の解剖によると、『』は、胃とコンビで働いて、飲食物の消化や吸収をたすけて、食べ物を気や血液、津液(リンパ液や漿液のようなもの)に分解して全身に送り出す臓器のようです。

 ちなみに写真は『類経図翼』という1500〜1600年代あたりに描かれた、中国の解体新書のような本に載っている解剖図。怪しい。

 いろいろ調べていくと、甘いものやお酒をのみすぎるとよくないとか、どうやら現代でいうところの膵臓の働きに近いです。

なお、古代中国の人達は、それらの体内の臓器が、それぞれ全身の身体の生理機能に関する重要な役割を担っていると考えていました。

 では、『』の役割はなにかというと、以下の3点。

運化(食べ物を吸収して気や血、津液に変える)

昇清(気や血、津液を胃から上の肺へおくる。結果、気がめぐることで肌肉に張りを与える。他の内臓が下垂しないように、つなぎとめる)

統血(血液を血管の外に漏らさないようにして、全身をうまく巡らせるようにする)

湿気で脾胃が犯されても、そのままほったらかしにしておくと、これらの機能も衰えてきます。そうすると、どんなことが起きるか?

食欲不振から始まり、腹痛、下痢、肌荒れ、全身倦怠、無力、血尿、不正性器出血など……。まあ、怖い!特に女子にとっては肌荒れと不正性器出血はとてもいやな症状!

 こうなるまえに、さっさと身体に侵入してくる湿邪を追い払ってしまいましょう。

1.まずは、現代のありがたい文明を使って、空調で除湿をかけるが◎。しかし、これだと身体が冷えちゃう人も多いんですよねー(-_-;)。

2.そんなときは、胃のあたりをカイロなどであたためる。東洋医学での消化は、胃で食べ物を『熱によって腐熟』させ、脾で『もんで砕く』のだそうで。温めると、たしかに食後の重だるい感じは軽減されます。そして、暑いかもしれないけれど、あまり冷たいものを、がぶがぶ食べたり飲んだりしない

3.それでもだるさが消えないときは、脾の経絡上に湿邪が既に入り込んでるかもしれません。こんなときは、脾の経絡が身体の表面を走っている、ふくらはぎの内側から膝の内側〜内股を、温めてもんでみる(↓方法はこちらをご参照ください)。

 ホットパックを作るのが面倒だったら、お風呂の中で温まりながらでもいいですよ。

 厳密に言うと、脚の内側には脾だけでなく、肝、腎の経絡も走っているのですが、細かいことは気にしない。まとめてもんじゃってください。掌で大きくおさえれば、まず全部の経絡にあたります。自分が気持ちいいーって感じるのが大切

 それでもなんかダメ、すっきりしない……というときは、お近くの鍼灸院で鍼灸をレッツトライ!

 実は私も湿気に弱いんですよー(;_;)。湿気に対抗する方法を、自分の身体で常に試しております。一緒にこの辛い季節を乗り切りましょう!

※この記事は2017年6月に「しんきゅうコンパス」コラム欄に掲載したものを加筆修正したものです。

西川口 蕨 鍼灸マッサージ

はり灸指圧治療ぬくまる屋店主 あいざわゆきこ